読了:図書館のお夜食

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こんにちは。清水みやびです。
朝晩は秋らしくなってきましたが、日中はまだ気温が高い日が目立ちますね。。。
先日、仕事先でご旅行に言ってこられた方のお土産話で「紅葉狩りに富士五湖周ったのに、葉がまだ青々としていて全然色づいてなかった」とお聞きしました。
山あいの木々でもまだ紅葉が進まないという話を聞くと、本当に四季がずれてしまっているんだなぁと心配になります。

さて、今回ご紹介の本は「図書館のお夜食/原田ひ香」です。

三千円の使い方・三人屋シリーズで知られている原田さんの2023年出版の作品。
今回も私はタイトルだけで選びました。
「図書館って閉館時間早いし、職員さんが夜食食べる時間帯まで残業するの??」とタイトルの情報のみで興味を惹かれて手に取ってしまうある意味では「ちょろい」のがわたくし清水の良いところかもしれません。

本作は、夜間のみ開館する私設図書館の話。
しかも扱う書籍がちょっと特殊な図書館の話ととなっています。
そしてお夜食の要素も、きちんと「飯テロ」感があり読み進めると「食べたい~」と身もだえするような料理が登場します。

それでは早速レビューに移ります。

私設図書館でのお仕事とは?

本作の主人公、樋口乙葉は元書店店員。
あることがきっかけで勤務先を辞め、東京郊外にある「夜の図書館」に転職します。
この図書館、公立図書館とはかなり様子が違います。
開館時間が午後7:00~午前0:00、入館するにはチケットを買うか、期限付きパスポートを買う必要があります。
そして取り扱う書籍がなんと、亡くなった作家の蔵書(その作家が読んでいた本)のみを取り扱ういわば「本の博物館」のような私設図書館が舞台となります。
図書館で働く人々、通ってくる常連客、作家だった家族を見送り蔵書の寄贈を決意する人、それぞれの本や仕事、家族に対する思いが物語となって動き出します。
そしてこの図書館にはカフェが併設されています。
本を読みふける来館者のためのカフェでもあるのですが、館内で働く乙葉たち職員のために「まかない」を用意してくれる腕利きの料理人、木下がキッチンを守ります。
このカフェ、曜日ごとにメニューが変わるのですが本好きが集まる図書館のカフェだけあってこのメニューも本や作家にちなんだものが出されます。
写真や挿絵がない分、でてくる料理を脳内でイメージするため自分好みのものすごくおいしそうなごはんのイメージが出来上がりお腹がすいてくること間違いなしです。

ままやの人参ごはん

作中のまかないに「ままやの人参ごはん」が出てきます。これがめちゃくちゃおいしそうに描かれていて、料理を再現できないか挑戦してみようと思ったほどです。
この「ままやの人参ごはん」は、作家の向田邦子さんが実の妹さんに任せていた「ままや」という料理屋で出されていたメニューとのこと。
本を読み終えて早速レシピや解説動画を探そうとしたところ、同じ本を読まれた方が動画で再現してくださっていました。
https://youtu.be/RJJ7WmrrSAE?si=pNHRjK6dNfrwqUci
シンプルな料理ですが、丁寧に作るととってもおいしそうな人参ごはん。
このほかにも赤毛のアンに出てくるサンドイッチやお菓子など「食べてみたいなぁ」と思わせてくれる料理が出てきます。
主人公の乙葉や他の図書館員たちの「夜の図書館に来るまで」のきっかけや、図書館の利用者が巻き起こす事件などの合間に出てくるまかないの部分が、読み手にとってもメインストーリーの緊張感から少し解放される癒しになります。
まるで乙葉たちと同じテーブルを囲みまかないを食べているような気分になれます。

蔵書という「遺品」を取り扱うということ

夜の図書館が取り扱うのは、亡くなった作家の蔵書。
作家が自作のために読んだり調べたりイメージを膨らませるために集めた本たち。
資料として手に入れた本だけではなく、ほかの作家が自著をプレゼントとして贈られたものなど作家同士の交友関係などもつまびらかにされる側面もある蔵書。
作家として手にした本を知られるのはいわば「ネタ元」が知られてしまいます。
熱狂的な作家のファンとしては、映画のメイキング映像を見るような気分なのかもしれません。
蔵書の引き取りも業務に含まれる夜の図書館。
本を引き取るという単純な仕事内容かといえばそうではありません。
そこには「一人の作家がこの世から作品を残していなくなった。死んでしまった。」という事実があります。
残された作家仲間や家族がその蔵書とどう向き合い、居なくなってしまった作家とのつながりを探そうとします。

最後に。。。

私は読書の習慣を始めたばかりです。
SNSで少し触れたことがあるのですが、視力が弱い分読むスピードが遅く時間がかかってしまうのと細かい字を目で追うと体調を崩してしまうため長時間読み進めることができませんでした。仮に読めたとしても本の内容がしっかりと頭に入ってこな場合も多々ありました。
現在はオーディオ図書をフル活用し、きちんと本の内容を理解することや作品の世界に没入することができます。同じ本を繰り返し再生することもあります。
今回読んだ「図書館のお夜食」は、もっとたくさんの本たちに出会いたいと読書欲をさらに掻き立ててくれる作品となりました。
おいしいごはんの話が好きな方、ライトなミステリーが好きな方、人物観察が好きな方にはオススメの一冊です。

今回はこのへんで。。。

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